KHK Technical Information

選定上の注意
KHK標準CPラック&ピニオンを選定する際は、ご使用する用途に合わせて各製品の特長および寸法表の内容をよくご確認の上、選定してください。
 
1.相手歯車を選定するときの注意
・KHK標準CPラックの相手ピニオンは、同一ピッチのCP平歯車となります。CP2.5(m0.796)、CP5(m1.592)、及びCP10(m3.183)は、モジュール0.8、1.5、3と大きさが非常に似ていますが、互換性はありません。
・STRCPF・STRCPFD テーパCPラックの相手ピニオンは、同一ピッチの KTSCP テーパCP平歯車となります。他の CP 平歯車では使用できません。
2.歯車強度から選定するときの注意
寸法表に記載されている許容曲げ強さおよび歯面強さは、当社において任意に設定した使用条件で計算した参考値です。ご使用前に必ず実際に使用する条件で強度計算を行い、ご検討後、選定してください。下記に、計算で使用した歯車強度計算式および当社で設定した歯車使用条件を示します。

■曲げ強さの計算
種類 ラック ピニオン
カタログ記号

設定項目
MRGCPF
MRGCPFD
KRGCPF-H
KRGCPFD-H
KRCPF-H
KRCPFD-H

KRGCP
KRGCPF
KRGCPFD
KRCPF
KRCPFD

SRGCP
SRGCPF
SRGCPFD
SRCPF-H
SRCPFD-H
SRCPF-HL
SRCPFD-HL
SRCP
SRCPF
SRCPFD
SRCPFK
SROCP
STRCPF
STRCPFD
SURCPF
SURCPFD
FRCP MSCPG KSCPG SSCPGS SSCPG KTSCP KSSCP KSSCP-H SSCP SSCP-H SUSCP
計算式注1 平歯車およびはすば歯車の曲げ強さ計算式(JGMA401-01)
相手歯数 30 ラック
ピニオン回転数 100rpm
繰り返し回数 107回以上
原動機側からの衝撃 均一負荷
被動機側からの衝撃 均一負荷
負荷の方向 両方向負荷(許容曲げ応力を2/3として計算)
許容歯元曲げ応力
σFlim(kgf/mm2)
47 32 32 20 20 20 10.5 47 30 24.5 19 28.5 32 32 19 19 10.5
安全率SF 1.2

■歯面強さの計算(曲げ強さと共通しているものは除く)
種類 ラック ピニオン
カタログ記号

設定項目
MRGCPF
MRGCPFD
KRGCPF-H
KRGCPFD-H
KRCPF-H
KRCPFD-H
KRGCP
KRGCPF
KRCPF
KRCPFD
SRGCP
SRGCPF
SRGCPFD
SRCPF-H
SRCPFD-H
SRCPF-HL
SRCPFD-HL
SRCP
SRCPF
SRCPFD
SRCPFK
SROCP
STRCPF
STRCPFD
SURCPF
SURCPFD
FRCP MSCPG KSCPG SSCPGS SSCPG KTSCP KSSCP KSSCP-H SSCP SSCP-H SUSCP
計算式注1 平歯車およびはすば歯車の歯面強さ計算式(JGMA402-01)
潤滑油の動粘度 100cSt(50℃)
歯車の支持方法 片持ち支持
許容へルツ応力
σHlim(kgf/mm2)
166 112 79 90 80 52.5 41.3 166 112 99 90 74.5 79 112 49 90 41.3
安全率SH 1.15

【注1】 歯車強度計算式は、JGMA(日本歯車工業会規格)によるものです。
なお、回転数の単位(rpm)と応力の単位(kgf/mm2)は計算式で使用する単位に合わせております。



3.歯車精度から選定するときの注意
KHK標準ラックの精度は当社で独自に設定した規格(KHK規格)に基づいて品質を管理しています。
使用する際は、下記の精度をご確認後、選定してください。
 
①ラックの各ピッチ誤差精度(KHK R 001)
ラックの各ピッチ誤差は、JIS B 1702: 1976「平歯車およびはすば歯車の精度」を参考にして、単位ラック長さを円周率(π)で除した数値を同モジュール平歯車のピッチ円直径に該当する各ピッチ誤差許容値として、1~8等級で設定しています。
 
■ラックの精度 KHK R 001

単位:μm
【注記】 ラックのピッチ精度は温度によって変化するため、製品温度20℃、底面基準にて評価します。また、PRプラスチックラックは、湿度によって材料の伸縮が大きいため、累積ピッチ誤差は本精度規格から除外となります。材料の寸法変化量は「プラスチック歯車の特性」を参照してください。

■カールツアイスACCURA三次元測定機によるピッチ測定および測定結果(KHK R 001 1級)
 
②ラックの材料寸法精度
■歯幅・高さの寸法許容値(単位mm)

【注記】
焼入れ製品は焼入れ前の寸法許容差です。
また、プラスチックラックの寸法許容差は加工時の値であり、経年変化するため若干寸法がプラスする場合があります。
※BSR製品は対象外です。
 

 
■最大曲がり量L(単位mm)
最大曲がり量L
【注記】 丸ラックの曲がりは、0.15/500mm、0.2/1000mmとなっています。
また、プラスチックラックは経年変化するため本精度規格から除外となります。

 
 
■全長の寸法許容差(単位mm)

【注記】 Fタイプ端面加工製品の寸法許容差はピッチ誤差や経年変化を考慮しない参考値です。

 
③ラック&ピニオンのバックラッシ(円周方向)

単位:mm

 
 
4.その他選定上の注意
本カタログに掲載されていない製品、または、寸法表記載外の製品(材料、モジュール、歯数等)は、オーダー品として承りますので、お申し付けください。
寸法表の欄外にも 【注】 マークで、それぞれの製品の注意事項を記載しましたのでよくご覧の上、選定してください。
寸法表に掲載されている製品の写真で、製品の色や形状が、実物と一部異なっている場合がありますので、ご注意ください。
寸法表に記載されている仕様や寸法は改良のため予告なく変更する場合がありますのであらかじめご承知ください。万一、実物が寸法表と異なる場合は、ご一報お願いいたします。




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使用上の注意
KHK標準ラックを使用する際は、必ず下記の注意事項をよく読んでから安全に十分気をつけて、正しくご使用ください。また、使用上、不明点、疑問点がございましたら、下記の当社技術課までご連絡ください。
小原歯車工業(株) 技術課
TEL 048-255-4871(代)
FAX. 048-256-2269
ご質問は こちら


KHK標準CPラック&ピニオンを使用する際は、KHK標準ラックおよび平歯車の「使用上の注意」をご参照の上、安全に十分気をつけて正しくご使用ください。
 
1.追加工上の注意
1KHK標準CPラックは、全て追加工が可能ですが、歯幅を狭くする加工は歯車精度を低下させますので避けてください。
2ラックの基準ピッチ線までの寸法管理は、ラックの底面を基準にして歯厚(オーバピン歯厚)によって行っています。ラック底面を加工することによって精度が低下することがあります。
3ラックの端面加工は、継ぎ部のピッチ(CP)精度を十分考慮して行ってください。また、継ぎ部のピッチがプラスしていると、その部分のかみ合いが悪くなりますのでマイナスの公差で加工してください。下記はモジュールごとのピッチと公差の目安です。
繋ぎ端面
4ノックピン用のキリ穴加工は下穴とし、ラックをベースに取り付けたときに同時加工を行い、ノックピンをセットしてください。
5KHK標準CPラックはS45C及びSCM440(歯研製品以外)の製品に歯面高周波焼入れすることができますが、ピッチ精度が低下します。
6追加工後は、全ての角部を面取りし、バリ等がないようにしてください。角部が鋭角になっていたり、バリ等がついていると製品を取り扱う際、危険ですのでご注意ください。
7歯先をバイスなどでチャックする場合は、歯がつぶれないようチャック圧に注意してください。圧痕により騒音の原因となります。
 
2.組立上の注意
KHK 標準CPラックの推奨する組立距離(下図のa)許容差は
歯面研削ラック H7  歯面切削ラック H8 となっています。
バックラッシ量は、選定上の注意の表をご参照ください。また、組立距離は常に一定になるように組立してください。
【注記】
ピニオンは、標準歯車(X=0)の場合とする。
組立距離 a=ラックのかみ合い高さ+ピニオンの基準円半径

KHK 標準CPラックの推奨する取り付け面の平面度と直角度は
歯面研削ラック 0.01mm 歯面切削ラック 0.05mm となっています。

取り付けベース面にラックの取り付けが不十分の場合、起動中にラックが移動して思わぬトラブルの原因となります。
また、取り付けねじのせん断方向にできるだけ負荷を受けないようにノックピンを併用してください。

SRCPF、SRCPFD等の端面加工ラックは、端面部はピッチが短く仕上がっています。繋いで使用する場合、そのまま端面どうし密着して組立すると、繋ぎ部のピッチが小さくなり、トラブルの原因となりますので、下記の組立方法をご覧いただき、正しく組立してください。
 
   
繋ぎ合わせ方法の一例として下記の方法をお勧めします。
【注記】 合わせラックは手持ちの同一歯車仕様製品、又は全長が短い100ラック製品をご利用ください。なお、ヘリカルラックはねじれ方向が逆の組合せとなりますのでご注意ください。

■取付ベースへの組付け方法はこちらをご覧ください。

 

2.起動するときの注意
起動する前に、下記の事項を再度ご確認ください。
歯車の取り付けが確実に行われているか。
歯当たりに片寄りがないか。
適切なバックラッシがついているか。(ノーバックラッシは避けてください。)
適切な潤滑を行っているか。
歯車が露出している場合は、必ず安全カバーを取り付けて、安全を確保してください。また、回転中の歯車には絶対にふれないように注意してください。
起動中に騒音や振動等の異常がある場合は、ただちに停止し、歯面の歯当たり、偏芯、締結の緩みなど組立状況を確認してください。
なお、歯車の騒音振動対策には
(1)良い精度
(2)小さい歯面粗さ
(3)正しい歯当たり等があります。
詳細は歯車中級編の「歯車の騒音と対策」をご参照ください。
歯車の潤滑には
(1)グリース潤滑法
(2)はねかけ潤滑法(油浴式)
(3)強制潤滑法(循環給油式)の方法があります。
詳細は歯車中級編の「歯車の潤滑」をご参照ください。特に初期稼動の場合、潤滑油が著しく劣化することがありますので、注意してください。

3.その他使用上の注意
KHK製品は、一つ一つ梱包を行い、キズや打痕を防止しておりますが、取り扱い方法によっては、製品の変形や破損することがあります。取り扱いには十分気をつけるようにお願いいたします。
製品を箱から出したときに、サビ、キズ、打痕等の確認をお願いいたします。万一、不良品がございましたら、交換させていただきますので、購入先にご連絡ください。
当社製品をお客様が追加工して使用する場合、追加工後の歯車精度等の保証は一切できませんので、あらかじめご承知ください。


CP5(m 1.592)およびCP10(m 3.183)はm 1.5、m 3と大きさが非常に似ていますので、ご使用の際は、それぞれの刻印をご確認ください。
FRCP金属フレキラックの取り付けの参考例を下図に示します。


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