平歯車・ラックの寸法計算
4 歯車の寸法計算
4.1 平歯車(スパーギヤ)
歯車の中でも最もシンプルな歯車が平歯車です。計算もシンプルで、他の歯車の計算の基本となります。
標準平歯車、転位平歯車及び直線歯形のラックの寸法計算方法を紹介します。
標準平歯車とは転位ゼロ(転位なし)の平歯車のことです。
(1)標準平歯車
図4.1に標準平歯車のかみ合いを示しました。
標準平歯車においては、互いの基準円が接する状態でかみ合います。
表4.1には標準平歯車の計算を示します。
標準平歯車においては、互いの基準円が接する状態でかみ合います。
表4.1には標準平歯車の計算を示します。
図4.1 標準平歯車のかみあい
(α=20°、z1=12、z2=24、x1=x2=0)
(α=20°、z1=12、z2=24、x1=x2=0)
表4.1 標準平歯車の計算
番号 | 計算項目 | 記号 | 計算式 | 計算例 | |
小歯車(1) | 大歯車(2) | ||||
1 | モジュール | m | 設定値 | 3 | |
2 | 基準圧力角 | α | 20° | ||
3 | 歯数 | z | 12 | 24 | |
4 | 中心距離 | a | (z1+z2)m/2 注1 | 54.000 | |
5 | 基準円直径 | d | zm | 36.000 | 72.000 |
6 | 基礎円直径 | db | d cosα | 33.829 | 67.658 |
7 | 歯末のたけ | ha | 1.00m | 3.000 | 3.000 |
8 | 歯たけ | h | 2.25m | 6.750 | 6.750 |
9 | 歯先円直径 | da | d +2m | 42.000 | 78.000 |
10 | 歯底円直径 | df | d -2.5m | 28.500 | 64.500 |
記号に添字1、2をつけることにより、小歯車と大歯車を区別する。
表4.1では、初めにモジュールmと歯数z1、z2が決められていました。これとは異なり、初めにモジュールmと中心距離aと速度伝達比iが決まっていて、歯数z1、z2を計算するには表4.2によります。
表4.2 歯数の求め方
番号 | 計算項目 | 記号 | 計算式 | 計算例 | ||
1 | モジュール | m | 設定値 | 3 | ||
2 | 中心距離 | a | 54.000 | |||
3 | 速度伝達比 | i | 1.25 | |||
4 | 歯数の和 | z1+z2 | ![]() | 36 | ||
5 | 歯数 | z | ![]() | ![]() | 16 | 20 |
この例のように歯数がうまい具合に整数となって計算されるとは限りません。
そんな時は歯車を転位したり、はすば歯車にすれば必要な速度伝達比に近い値を得ることが可能です。
(2)転位平歯車
図4.2には転位平歯車のかみ合いを示しました。
この転位平歯車のかみ合いにおいて大切なのは、かみ合いピッチ円直径dwとかみ合い圧力角αwです。
これらは、転位平歯車の中心距離aをもとに次の式にて簡単に求まります。
この転位平歯車のかみ合いにおいて大切なのは、かみ合いピッチ円直径dwとかみ合い圧力角αwです。
これらは、転位平歯車の中心距離aをもとに次の式にて簡単に求まります。
転位歯車はこのかみ合いピッチ円が接するかたちでかみ合います。
かみ合いピッチ円上の圧力角がかみ合い圧力角です。
表4.3には、初めに転位係数x1、x2を決めて計算する方法を示します。
表4.3には、初めに転位係数x1、x2を決めて計算する方法を示します。
この転位計算は項げきcを0.25mに保つ考えに基づいています。
図4.2 転位平歯車のかみ合い
(α=20°、z1=12、z2=24、x1=+0.6、x2=+0.36)
(α=20°、z1=12、z2=24、x1=+0.6、x2=+0.36)
表4.3 転位平歯車の計算(1)
番号 | 計算項目 | 記号 | 計算式 | 計算例 | |
小歯車(1) | 大歯車(2) | ||||
1 | モジュール | m | 設定値 | 3 | |
2 | 基準圧力角 | α | 20° | ||
3 | 歯数 | z | 12 | 24 | |
4 | 転位係数 | x | 0.6 | 0.36 | |
5 | インボリュートαw | invαw | ![]() | 0.034316 | |
6 | かみ合い圧力角 | αw | インボリュート関数表から求める | 26.0886° | |
7 | 中心距離修正係数 | y | ![]() | 0.83329 | |
8 | 中心距離 | a | ![]() | 56.4999 | |
9 | 基準円直径 | d | zm | 36.000 | 72.000 |
10 | 基礎円直径 | db | d cosα | 33.8289 | 67.6579 |
11 | かみ合いピッチ円直径 | dw | ![]() | 37.667 | 75.333 |
12 | 歯末のたけ | ha1 ha2 | (1+y -x2)m (1+y -x1)m | 4.420 | 3.700 |
13 | 歯たけ | h | {2.25+y -(x1+x2)}m | 6.370 | |
14 | 歯先円直径 | da | d +2ha | 44.840 | 79.400 |
15 | 歯底円直径 | df | da -2h | 32.100 | 66.660 |
この転位平歯車の計算において、x1=x2=0とすればこれは標準平歯車の計算になります。
計算表(1)の4番から8番までの計算項目を逆に計算するのが次に示す方法(2)です。
表4.4 転位平歯車の計算(2)
番号 | 計算項目 | 記号 | 計算式 | 計算例 | |
1 | 中心距離 | a | 設定値 | 56.4999 | |
2 | 中心距離修正係数 | y | ![]() | 0.8333 | |
3 | かみ合い圧力角 | αw | ![]() | 26.0886° | |
4 | 転位係数の和 | x1+x2 | ![]() | 0.9600 | |
5 | 転位係数 | x | ― | 0.6000 | 0.3600 |
転位係数の和x1+x2を各歯車の転位係数x1、x2に分配する方法については、いろいろな方法が提案されています。
たとえば、BSS(イギリス国家規格)とかDIN(ドイツ国家規格)などが有名ですが、ここではその説明は省略いたします。この例では、小歯車(z1=12)の切下げを防止し、歯先尖りにならない転位係数を適当に選んでいます。
(3)ラックと平歯車
ここではラックと平歯車のかみ合いについてその計算方法を紹介します。
図4.3(1)には標準平歯車とラックのかみ合いを示しました。
図4.3(1)には標準平歯車とラックのかみ合いを示しました。
このかみ合いにおいて、標準平歯車の基準円はラックのピッチ線に接しています。
図4.3(2)に示した転位平歯車とラックのかみ合いにおいては、転位平歯車の基準円とラックのピッチ線は転位量xmだけ離れてかみ合っています。
表4.5にはラックとかみ合う転位平歯車の計算を示します。
図4.3(2)に示した転位平歯車とラックのかみ合いにおいては、転位平歯車の基準円とラックのピッチ線は転位量xmだけ離れてかみ合っています。
表4.5にはラックとかみ合う転位平歯車の計算を示します。
転位なしの標準平歯車においては、x1=0として計算すれば表4.5の式を使うことができます。
表4.5 ラックとかみあう転位平歯車の計算
番号 | 計算項目 | 記号 | 計算式 | 計算例 | |
歯車 | ラック | ||||
1 | モジュール | m | 設定値 | 3 | |
2 | 基準圧力角 | α | 20° | ||
3 | 歯数 | z | 12 | - | |
4 | 転位係数 | x | 0.6 | ||
5 | ピッチ線高さ | H | - | 32.000 | |
6 | かみ合い圧力角 | αw | 20° | ||
7 | 組立距離 | a | ![]() | 51.800 | |
8 | 基準円直径 | d | zm | 36.000 | - |
9 | 基礎円直径 | db | d cosα | 33.829 | |
10 | かみ合い ピッチ円直径 | dw | ![]() | 36.000 | |
11 | 歯末のたけ | ha | m(1+x) | 4.800 | 3.000 |
12 | 歯たけ | h | 2.25m | 6.750 | |
13 | 歯先円直径 | da | d+2ha | 45.600 | - |
14 | 歯底円直径 | df | da-2h | 32.100 | |
ラックと平歯車のかみあいにおいて、平歯車1回転に対するラックの移動量
は、基準ピッチの歯数倍です。
は、基準ピッチの歯数倍です。
=πmz (4.2)この移動量
は、歯車の転位には影響されません。
は、歯車の転位には影響されません。あくまでも、ラックの基準ピッチπmと平歯車の歯数zによって決まるものです。
図4.3(1)標準平歯車とラックのかみ合い
(α=20°、z1=12、x1=0)
(α=20°、z1=12、x1=0)
図4.3(2)転位平歯車とラックのかみ合い
(α=20°、z1=12、x1=+0.6)
(α=20°、z1=12、x1=+0.6)
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