円筒ウォームギヤ対の寸法計算
4 歯車の寸法計算
4.6 円筒ウォームギヤ対
円筒ウォームギヤ対とは、ねじ状の歯車である円筒ウォームとこれとかみ合うウォームホイールとからなる歯車対のことです。食違い軸の歯車として最も多く使用されているもので、軸角は90°が一般的です。
歯数2枚以上のウォームのことを多条ウォームといいます。
図4.16のようにウォームとは1枚以上の歯数をもったねじ状の歯車で、ピッチ円筒上でつるまき線はγの基準円筒進み角をもち、そのつるまき線は1回転に対してリードpzだけ進みます。
図4.16のようにウォームとは1枚以上の歯数をもったねじ状の歯車で、ピッチ円筒上でつるまき線はγの基準円筒進み角をもち、そのつるまき線は1回転に対してリードpzだけ進みます。
図4.16 円筒ウォーム(右ねじれ)
円筒ウォームの歯形は、日本工業規格JIS B 1723-1977円筒ウォームギヤの寸法では以下の4種類が規定されています。
1形 | 軸平面上の歯形が台形のもの |
2形 | 歯溝直角平面上の歯形が台形のもの |
3形 | 工具平面上の形が台形のフライス又はといしの軸を、ウォーム軸に対して、進み角だけ傾けて工作したもの(参考JISB0102:1999歯車用語ではK形) |
4形 | 軸直角平面上の歯形がインボリュート曲線のもの |
KHK標準歯車は全て3形です(図4.15)。加工工具はシングルカッタと呼ばれ、基準歯形をもった一枚刃の工具で加工を行います。
ウォーム盤というウォーム歯切り専用の機械での加工となります。
ウォーム盤というウォーム歯切り専用の機械での加工となります。
図4.15 3形ウォームの切削又は研削
ウォームギヤは食違い軸の歯車ですから、ウォームの軸平面とウォームホイールの軸平面は一致しません。
ウォームにおける軸平面はウォームホイールにおける軸直角平面(正面)になり、ウォームにおける軸直角平面(正面)はウォームホイールにおける軸平面になります。
唯一一致する平面が歯直角平面です。
この歯直角平面における歯直角モジュールmnを基準とするウォームギヤの製作方法もかなり普及しています。
この方式によれば、市販の歯車用ホブを使ってウォームホイールを歯切りすることができるので大変便利です。
ここでウォームギヤの軸平面、軸直角平面(正面)と歯直角平面におけるモジュール、圧力角、ピッチ、リードの関係を表4.23に示します。
ウォームにおける軸平面はウォームホイールにおける軸直角平面(正面)になり、ウォームにおける軸直角平面(正面)はウォームホイールにおける軸平面になります。
唯一一致する平面が歯直角平面です。
この歯直角平面における歯直角モジュールmnを基準とするウォームギヤの製作方法もかなり普及しています。
この方式によれば、市販の歯車用ホブを使ってウォームホイールを歯切りすることができるので大変便利です。
ここでウォームギヤの軸平面、軸直角平面(正面)と歯直角平面におけるモジュール、圧力角、ピッチ、リードの関係を表4.23に示します。
表4.23 ウォームギヤの比較表
ウォーム | ||
軸平面 | 歯直角平面 | 軸直角平面(正面) |
![]() | ![]() | ![]() |
軸直角平面(正面) | 歯直角平面 | 軸平面 |
ウォームホイール | ||
図4.17 円筒ウオームギヤの寸法
(1)軸方向モジュール方式ウォームギヤ
この方式のウォームギヤにおいては軸方向モジュールmx、歯直角圧力角αn=20°を基準に歯車の計算をすすめます。
表4.24にその計算を示します。
表4.24 軸方向モジュール方式ウォームギヤ
番号 | 計算項目 | 記号 | 計算式 | 計算例 | |
ウォーム(1) | ウォームホイール(2) | ||||
1 | 軸方向モジュール | mx | 設定値 | 3 | |
2 | 歯直角圧力角 | αn | (20°) | ||
3 | 条数・歯数 | z | 右2条 | 30(R) | |
4 | 軸直角転位係数 | xt2 | - | 0 | |
5 | 基準円直径 | d1 d2 | (Qmx) 注1 z2mx | 44.000 | 90.000 |
6 | 基準円筒進み角 | γ | ![]() | 7.76517° | |
7 | 中心距離 | a | ![]() | 67.000 | |
8 | 歯末のたけ | ha1 ha2 | 1.00mx (1.00 + xt2)mx | 3.000 | 3.000 |
9 | 歯たけ | h | 2.25mx | 6.750 | |
10 | 歯先円直径 | da1 da2 | d1 + 2ha1 d2 + 2ha2 + mx 注2 | 50.000 | 99.000 |
11 | のどの直径 | dt | d2 + 2ha2 | - | 96.000 |
12 | のどの丸み半径 | ri | ![]() | - | 19.000 |
13 | 歯底円直径 | df1 df2 | da1- 2h dt - 2h | 36.500 | 82.500 |
注1. 直径係数Qはウォームの基準円直径d1と軸方向モジュールmxの比で表わされます。
注2.ウォームホイールの歯先円直径da2の計算式としては、このほかにもいろいろあります。
注3.ウォームの歯幅b1はπmx(4.5 + 0.02z2)あれば充分です。
注4.ウォームホイールの有効歯幅bwは
で与えられますから、ウォームホイールの歯幅b2はbw+1.5mx以上あれば充分です。
注3.ウォームの歯幅b1はπmx(4.5 + 0.02z2)あれば充分です。
注4.ウォームホイールの有効歯幅bwは
で与えられますから、ウォームホイールの歯幅b2はbw+1.5mx以上あれば充分です。(2)歯直角方式ウォームギヤ
この方式のウォームギヤにおいては歯直角モジュールmn、歯直角圧力角αn=20°を基準に歯車の計算をすすめます。
表4.25にその計算を示します。
表4.25 歯直角方式ウォームギヤの計算
番号 | 計算項目 | 記号 | 計算式 | 計算例 | |
ウォーム(1) | ウォームホイール(2) | ||||
1 | 歯直角モジュール | mn | 設定値 | 3 | |
2 | 歯直角圧力角 | αn | (20°) | ||
3 | 条数・歯数 | z | 右2条 | 30(R) | |
4 | ウォームの基準円直径 | d1 | 44.000 | - | |
5 | 歯直角転位係数 | xn2 | - | -0.1414 | |
6 | 基準円筒進み角 | γ | ![]() | 7.83748° | |
7 | ウォームホイール 基準円直径 | d2 | ![]() | - | 90.8486 |
8 | 中心距離 | a | ![]() | 67.000 | |
9 | 歯末のたけ | ha1 ha2 | 1.00mn (1.00 + xn2)mn | 3.000 | 2.5758 |
10 | 歯たけ | h | 2.25mn | 6.75 | |
11 | 歯先円直径 | da1 da2 | d1 + 2ha1 d2 + 2ha2 + mn | 50.000 | 99.000 |
12 | のどの直径 | dt | d2 + 2ha2 | - | 96.000 |
13 | のどの丸み半径 | ri | ![]() | - | 19.000 |
14 | 歯底円直径 | df1 df2 | da1 - 2h dt - 2h | 36.500 | 82.500 |
注記に関しては表4.24を参照して下さい。
(3)ウォームギヤのクラウニング
ウォームギヤにおいては、他の歯車と比較して、クラウニングが非常に大切です。
このクラウニングをすることによって歯車の組立誤差などによる歯面の片当りを防ぐとともに、油膜を形成するために必要な、入口すきまを確保することができます。
このクラウニングを付ける方法として、次の4つの方法を紹介します。
ウォームホイールの歯にクラウニングをする方法としては、次のような方法があります。
このクラウニングを付ける方法として、次の4つの方法を紹介します。
ウォームホイールの歯にクラウニングをする方法としては、次のような方法があります。
(a)ウォームより大きい基準円直径のホブでウォームホイールを歯切りする方法
ウォームと同じ基準円直径のホブでウォームホイールを歯切りした場合、そのウォームホイールのクラウニング量は零です。
このようなウォームギヤを誤差なく製作して、誤差なく組立てた場合、歯当たりは歯面全体にベタ当たりするはずです。これの問題点は主に2つあります。1つは、入口すき間が確保できないことであり、もう1つは、このような誤差のない理想的な状態など現実には不可能ですから、結局片当たりになります。
これらの問題を解決するには、図4.18に示すように、基準円直径の大きいホブでウォームホイールを歯切りします。
このようなウォームギヤを誤差なく製作して、誤差なく組立てた場合、歯当たりは歯面全体にベタ当たりするはずです。これの問題点は主に2つあります。1つは、入口すき間が確保できないことであり、もう1つは、このような誤差のない理想的な状態など現実には不可能ですから、結局片当たりになります。
これらの問題を解決するには、図4.18に示すように、基準円直径の大きいホブでウォームホイールを歯切りします。
これにより、歯当たりを歯幅の中央部に集中させ、入口すきまを確保することができます。
図4.18 径の大きいホブで歯切りする方法
(b)ホブ軸を上下(歯幅方向)に微少量Δhだけずらして歯切りする方法
ホブ盤でウォームホイールを歯切りするとき、ホブ軸の中心をウォームホイールの中心にセットします。
このセッティングで全切込深さまで通常の歯切りをした後、ホブ軸の中心を上に微少量Δhだけずらしてセットして歯切りし、下にも同様の手順でセットして歯切りします。ただし、上下移動には、歯すじに添って移動することです。
それには、進み角にあったリードをかけて上下するか、必要量ブランクを円周方向にずらせて上下の位置にセットします。これにより、歯をクラウニングします。
図4.19 上下にずらす方法
(c)ホブ軸を左右に微少角度Δθだけ傾けて歯切りする方法
ホブ盤でウォームホイールを歯切りするとき、ホブ軸は計算されたホブ取付角にセットします。
このセッティングで全切込深さまで通常の歯切りをした後、ホブ軸を左に微少角度Δθだけずらしてセットして歯切りし、右にも同様の手順でセットして歯切りします。これにより、歯をクラウニングします。
これらウォームホイールをクラウニングする方法のうちで、最もよく使うのは、(a)の方法で、(b)、(c)はあまり使いません。
これらウォームホイールをクラウニングする方法のうちで、最もよく使うのは、(a)の方法で、(b)、(c)はあまり使いません。
図4.20 左右に傾ける方法
次にウォームをクラウニングする方法を紹介します。
(d)ウォームの軸平面圧力角をウォームホイールの軸平面圧力角よりも大きくしてウォームをクラウニングする方法
この方法は、歯車のかみ合いにおいて最も重要な、軸平面における基礎円ピッチを変えずに、軸平面圧力角と軸方向ピッチを変えることにより、ウォームをクラウニングするものです。
pxcosαx = Pwx cosαwx (4.25)
修整後の軸平面圧力角αxを修整前のαwxよりも大きくすると、式(4.25)を満足させるには、修整後の軸方向ピッチpxを修整前のpwxよりも大きくする必要があります。
つまりこの方法は、軸平面圧力角αxと軸方向ピッチpxを大きい値に修整する方法です。
図4.22の修整したウォームと標準のウォームホイールのかみ合いのA点におけるすき間(クラウニング量)は次の式にて近似的に計算されます。
つまりこの方法は、軸平面圧力角αxと軸方向ピッチpxを大きい値に修整する方法です。
図4.22の修整したウォームと標準のウォームホイールのかみ合いのA点におけるすき間(クラウニング量)は次の式にて近似的に計算されます。
| ここに | d1:ウォームの基準円直径 |
| k:係数、表4.26又は図4.21から求めます。 |
表4.26 係数kの値
αx | 14.5° | 17.5° | 20° | 22.5° |
k | 0.55 | 0.46 | 0.41 | 0.375 |
図4.21 係数kの値
表4.27 ウォームのクラウニングの計算
番号 | 計算項目 | 記号 | 計算式 | 計算例 |
1 | 軸方向モジュール | mwx | 注、これらは修整前のデータです。 | 3 |
2 | 歯直角圧力角 | αwn | 20° | |
3 | ウォームの条数 | z1 | 2 | |
4 | ウォームの基準円直径 | d1 | 44.000 | |
5 | 基準円筒進み角 | γw | ![]() | 7.765166° |
6 | 軸平面圧力角 | αwx | ![]() | 20.170236° |
7 | 軸方向ピッチ | pwx | πmwx | 9.424778 |
8 | リード | pwz | πmxz1 | 18.849556 |
9 | クラウニング量 | CR | 歯当たりの大きさを考慮して決める | 0.04 |
10 | 係数 | k | 表4.26から求める | 0.41 |
※修整後のデータ | ||||
11 | 軸方向ピッチ | px | ![]() | 9.466573 |
12 | 軸平面圧力角 | αx | ![]() | 20.847973° |
13 | 軸方向モジュール | mx | ![]() | 3.013304 |
14 | 基準円筒進み角 | γ | ![]() | 7.799179° |
15 | 歯直角圧力角 | αn | tan-1(tanαx cosγ) | 20.671494° |
16 | リード | pz | πmxz1 | 18.933146 |
図4.22 クラウニング量を計算する点A
(4)ウォームギヤのセルフロック
ウォームギヤの特徴の1つに、セルフロックという現象があります。このセルフロックとは、ウォームホイールからウォームを回すことができない状態のことで、これを利用することにより、昇降装置などにおいて、停止位置を簡単に保持することができるとか、その他にも、いろいろ有効な使い方が可能です。
ウォームギヤにおいては、セルフロックするものと、セルフロックしないものがあり、それにはいろいろな要素が影響します。
軸受損失とか、潤滑油かくはん損失などによるブレーキ力が作用しない理想的な状態を仮定して、セルフロックするかしないかを判断するには、歯面に作用する力によります。歯車中級編8.5ウォームギヤに働く力において、ウォームホイールが駆動歯車のとき、ウォームの接線力Ft1は次の式にて計算されます。
ウォームギヤにおいては、セルフロックするものと、セルフロックしないものがあり、それにはいろいろな要素が影響します。
軸受損失とか、潤滑油かくはん損失などによるブレーキ力が作用しない理想的な状態を仮定して、セルフロックするかしないかを判断するには、歯面に作用する力によります。歯車中級編8.5ウォームギヤに働く力において、ウォームホイールが駆動歯車のとき、ウォームの接線力Ft1は次の式にて計算されます。
Ft1 = Fn(cosαn sinγ - μcosγ) (4.27)
この接線力Ft1が0より大きければ、セルフロックはしません。この式から、セルフロックに影響する要素としては、歯直角圧力角αn、基準円筒進み角γと摩擦係数μの3つであることがわかりますが、このなかで、静摩擦係数μは潤滑状況や、表面粗さなどによって大きく影響を受ける不確定要素です。
式(4.27)において、Ft1=0として、αn=20°のときの基準円筒進み角γと摩擦係数μの関係を示したのが図4.23です。
実際のウォームギヤセットにおいて、摩擦係数μの値を正しく算出するのは、非常に困難であるとともに、実際には軸受損失とか潤滑油かくはん損失などによるブレーキ力が作用します。これらを全て正確に把握することは非常に困難ですから、ウォームギヤがセルフロックするかしないかを判断するのも非常に困難です。
確実に言えることは、基準円筒進み角γが小さくなればなる程、セルフロック性は向上するということです。
式(4.27)において、Ft1=0として、αn=20°のときの基準円筒進み角γと摩擦係数μの関係を示したのが図4.23です。
実際のウォームギヤセットにおいて、摩擦係数μの値を正しく算出するのは、非常に困難であるとともに、実際には軸受損失とか潤滑油かくはん損失などによるブレーキ力が作用します。これらを全て正確に把握することは非常に困難ですから、ウォームギヤがセルフロックするかしないかを判断するのも非常に困難です。
確実に言えることは、基準円筒進み角γが小さくなればなる程、セルフロック性は向上するということです。
図4.2 基準円筒進み角γと摩擦係数μのセルフロック限界
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こちらの技術資料は冊子カタログ3013(2015年)当時のデータであり、一部データが古い場合があります。
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