平歯車及びはすば歯車の曲げ強さ計算式

10 歯車の強度

10.1 平歯車及びはすば歯車の曲げ強さ計算式 JGMA 401-01:1974

この規格は、一般産業機械において動力伝達に使用されるつぎの範囲の平歯車およびはすば歯車(やまば歯車および内歯車を含む)に適用します。
(1)基礎となる換算式
強さの計算において、正面におけるかみ合いピッチ円上の円周力Ft(kgf)、動力P(kW)およびトルクT(kgf・m)の間には次の関係があります。

 (10.1)

 (10.2)

 (10.3)
(2)曲げ強さ計算式
曲げ強さを満足するには、かみ合いピッチ円上の呼び円周力Ftが許容歯元曲げ応力によって計算したかみ合いピッチ円上の許容円周力Ftlim以下でなければなりません。
F t ≦F t lim (10.4)

または、かみ合いピッチ円上の呼び円周力Ftから求めた歯元応力σFが、許容歯元曲げ応力σFlim以下でなければなりません。
σF ≦σF lim (10.5)

かみ合いピッチ円上の許容円周力Ftlim(kgf)は次の式によって求めます。
 (10.6)

歯元曲げ応力(kgf/mm2)は次の式によって求めます。
 (10.7)
(3)各種係数などの求め方
(3)-1 歯幅b(mm)
歯幅が異なる場合は、広いほうの歯幅をbw、せまいほうの歯幅をbsとするとき
bw - bs ≦ mnのときはそれぞれの歯幅bw、bsを計算上の歯幅とします。
bw - bs > mnのときはbwに対してはb s +m nを、bsはそのまま使用します。

[補]丸ラックの歯幅については、「10.2平歯車およびはすば歯車の歯面強さ計算式」(3)-1をご参照ください。
(3)-2 歯形係数YF(30°接線法による)
JIS B 1701に規定されている圧力角αn=20°の並歯の歯形であれば、相当平歯車歯数zvと転位係数χをもとに図10.1から求まります。
この図10.1には理論切下げ限界と歯先尖り限界が示されていますから、歯車諸元を決めるのに役立ちます。
内歯車の場合は、それに対応するラックとして求めます。
(3)-3 荷重分配係数Yε
荷重分配係数Yεは、正面かみあい率εαの逆数として計算されます。
 (10.8)
図10.1 歯形係数図表
表10.1 標準平歯車の正面かみあい率εα (α0=20°)
歯数
12
15
20
25
30
35
40
12
1.420
15
1.451
1.481
20
1.489
1.519
1.557
25
1.516
1.547
1.584
1.612
30
1.537
1.567
1.605
1.633
1.654
35
1.553
1.584
1.622
1.649
1.670
1.687
40
1.567
1.597
1.635
1.663
1.684
1.700
1.714
45
1.578
1.609
1.646
1.674
1.695
1.711
1.725
50
1.588
1.618
1.656
1.683
1.704
1.721
1.734
55
1.596
1.626
1.664
1.691
1.712
1.729
1.742
60
1.603
1.633
1.671
1.698
1.719
1.736
1.749
65
1.609
1.639
1.677
1.704
1.725
1.742
1.755
70
1.614
1.645
1.682
1.710
1.731
1.747
1.761
75
1.619
1.649
1.687
1.714
1.735
1.752
1.765
80
1.623
1.654
1.691
1.719
1.740
1.756
1.770
85
1.627
1.657
1.695
1.723
1.743
1.760
1.773
90
1.630
1.661
1.699
1.726
1.747
1.764
1.777
95
1.634
1.664
1.702
1.729
1.750
1.767
1.780
100
1.636
1.667
1.705
1.732
1.753
1.770
1.783
110
1.642
1.672
1.710
1.737
1.758
1.775
1.788
120
1.646
1.676
1.714
1.742
1.762
1.779
1.792
RACK
1.701
1.731
1.769
1.797
1.817
1.834
1.847
歯数
45
50
55
60
65
70
75
45
1.736
50
1.745
1.755
55
1.753
1.763
1.771
60
1.760
1.770
1.778
1.785
65
1.766
1.776
1.784
1.791
1.797
70
1.772
1.781
1.789
1.796
1.802
1.808
75
1.777
1.786
1.794
1.801
1.807
1.812
1.817
80
1.781
1.790
1.798
1.805
1.811
1.817
1.821
85
1.785
1.794
1.802
1.809
1.815
1.821
1.825
90
1.788
1.798
1.806
1.813
1.819
1.824
1.829
95
1.791
1.801
1.809
1.816
1.822
1.827
1.832
100
1.794
1.804
1.812
1.819
1.825
1.830
1.835
110
1.799
1.809
1.817
1.824
1.830
1.835
1.840
120
1.804
1.813
1.821
1.828
1.834
1.840
1.844
RACK
1.859
1.868
1.876
1.883
1.889
1.894
1.899
歯数
80
85
90
95
100
110
120
80
1.826
85
1.830
1.833
90
1.833
1.837
1.840
95
1.836
1.840
1.844
1.847
100
1.839
1.843
1.846
1.850
1.853
110
1.844
1.848
1.852
1.855
1.858
1.863
120
1.849
1.852
1.856
1.859
1.862
1.867
1.871
RACK
1.903
1.907
1.911
1.914
1.917
1.922
1.926
正面かみ合い率は

 (10.9)
表10.1にはα0=20°の標準平歯車の正面かみ合い率εαを示します。
(3)-4 ねじれ角係数Yβ
ねじれ角係数Yβは次の式にて求めます。
 (10.10)
(3)-5 寿命係数K L
寿命係数K L は表10.2によって求めます。
ここで繰返し回数とは寿命期間中に負荷をうけてかみあう回数です。
表10.2 寿命係数
繰返し回数
かたさ(1)
HB120~220
かたさ(2)
HB221以上
浸炭歯車
窒化歯車
10000以下
1.4
1.5
1.5
100000前後
1.2
1.4
1.5
106前後
1.1
1.1
1.1
107以上
1.0
1.0
1.0
(1)鋳鋼歯車はこの欄を用います。
(2)高周波焼入れ歯車は心部のかたさです。
(3)-6 歯元応力に対する寸法係数KFX
歯元応力に対する寸法係数KFXは、いまのところ1.00とします。
KFX=1.00 (10.11)
(3)-7 動荷重係数KV
動荷重係数KVは歯車の精度及びかみ合いピッチ円上の周速度によって表10.3から求めます。
表10.3 動荷重係数KV
JIS B 1702による
歯車精度等級
かみあいピッチ円上の周速度(m/s)
1以下
1を超え3以下
3を超え5以下
5を超え8以下
8を超え12以下
12を超え18以下
18を超え25以下
歯形
非修整
修整

1


1.0
1.0
1.1
1.2
1.3
1
2

1.0
1.05
1.1
1.2
1.3
1.5
2
3
1.0
1.1
1.15
1.2
1.3
1.5
3
4
1.0
1.2
1.3
1.4
1.5
4

1.0
1.3
1.4
1.5
5

1.1
1.4
1.5
6

1.2
1.5

(3)-8 過負荷係数K O
過負荷係数K O はつぎの式によって求めます。
 (10.12)

ただし、実際円周力不詳の場合は表10.4によって求めます。
表10.4 過負荷係数K O
原動機側からの衝撃
被動機械からの衝撃
均一負荷
中程度の衝撃
はげしい衝撃
均一負荷
(電動機、タービンおよび油圧モータなど)
1.0
1.25
1.75
軽度の衝撃(多気筒機関)
1.25
1.5
2.0
中程度の衝撃(単気筒機関)
1.5
1.75
2.25
(3)-9 歯元曲げ破損に対する安全率SF
歯元曲げ破損に対する安全率SFは内的および外的の各種要因によって一定の値に決めることは困難ですが、少くとも1.2以上は必要です。
(3)-10 許容歯元曲げ応力σF lim
荷重方向が一定の歯車の許容歯元曲げ応力σF limを表10.5~表10.8に示します。
この許容歯元曲げ応力σF limは、材料の片振引張疲れ限度を応力集中係数1.4で割った値です。
荷重方向が両方向で、左右両歯面が均等かまたはこれに近い程度に負荷をうける歯車については、σF limは表の値の2/3とします。
硬さまたは心部硬さとして示す値は、歯元の中心部の硬さとします。
表10.5 表面硬化しない歯車
表10.6 高周波焼入れ歯車
備考
σF limの値は、焼割れ、焼入れ深さの不足、又は不均一等の欠陥がある場合には上記の値より著しく低下するので注意を要します。

注(1)歯面かたさが低い場合はσF limの値は表10.5の相当品の値を使用します。
表10.7 浸炭焼入れ歯車
注(2)歯面強さの向上のための適切な浸炭深さと表面かたさをもつ歯車に適用します。
ただし、浸炭層が極端に薄い例外的な場合については表面硬化しない焼入焼もどし歯車のσF limを用います。
表10.8 窒化歯車 JGMA403-01(1976)から抜粋
材料
歯面硬さ(参考)
心部硬さ
σ F lim
kgf/mm2
HB
HV
窒化鋼以外の構造用合金鋼
HV650以上
220
231
30
240
252
33
260
273
36
280
295
38
300
316
40
320
337
42
340
358
44
360
380
46
窒化鋼 SACM645
HV650以上
220
231
32
240
252
35
260
273
38
280
295
41
300
316
44
注(1)歯面強さの向上のための適切な窒化深さをもつ歯車に適用します。
ただし、軟窒化などで窒化層が極端に薄い場合については表面硬化しない歯車の表のσF limを用います。
表10.9 ステンレス鋼及び快削黄銅 JGMA6101-02(2007)から抜粋
材料
硬さ
降伏点 Mpa
引張り強さ Mpa
σ F lim Mpa
ステンレス鋼 SUS304
187HB 以下
206 以上(耐力)
520 以上
103
快削黄銅 C3604
80HV 以上
-
333 以上    
39.3
【参考】被動機械負荷分類表 JGMA402-01(1975)から抜粋
被動機械名
負荷分類 級別
被動機械名
負荷分類 級別
かきまぜ機
M
食品機械
M
送風機
U
ハンマミル
H
醸造及び蒸留器
U
ホイスト
M
車両用機械
M
工作機械
H
クラリファイヤ
U
金属加工機械
H
選別機
M
回転ミル
M
陶業機械(中負荷)
M
タンブラ
H
陶業機械(重負荷)
H
ミキサ
M
圧縮機
M
石油精製機械
M
コンベヤ(均一負荷)
U
製紙機械
M
コンベヤ(不均一又は重負荷)
M
皮むき機
H
クレーン
U
ポンプ
M
クラッシャ
H
ゴム機械(中負荷)
M
しゅんせつ船(中負荷)
M
ゴム機械(重負荷)
H
しゅんせつ船(重負荷)
H
水処理機械(軽負荷)
U
エレベータ
U
水処理機械(中負荷)
M
押出機
U
スクリーン(ふるい)
U
ファン(扇風機)
U
スクリーン(砂利用)
M
ファン(工業用)
M
精糖機械
M
供給機
M
繊維機械
M
供給機(往復動)
H
備考
  1. この表はAGMA151.02を参照して作成した。
  2. 表の負荷分類級別で、Uは均一負荷、Mは中程度の衝撃、Hははげしい衝撃を表わす。
  3. この分類は一般の傾向を示すものであるから、重負荷のものは一階級上の級別を採用するがよい。
    詳細については上記1項で述べたAGMAを参照されたい。
(4)計算例
平歯車諸元
番号
項目
記号
単位
小歯車
大歯車
1
歯直角モジュール
mn
mm
2
2
歯直角圧力角
αn

20°
3
ねじれ角
β0

4
歯数
z
20
40
5
中心距離
ax
mm
60
6
転位係数
x
+0.15
-0.15
7
基準ピッチ円直径
d0
mm
40.000
80.000
8
かみ合いピッチ円直径
db
40.000
80.000
9
歯幅
b
20
20
10
精度
JIS 5(歯形修整なし)
JIS 5(歯形修整なし)
11
仕上げ
ホブ仕上げ
12
歯面粗さ
12.5S
13
回転数
n
rpm
1500
750
14
周速度
v
m/s
3.142
15
負荷の方向
一方向のみ
16
かみ合い回数

107回以上
17
材料
SCM415
18
熱処理
浸炭焼入れ
19
表面硬さ
HV600-640
20
心部硬さ
HB260-280
21
有効浸炭深さ
mm
0.3-0.5
平歯車の曲げ強さ計算
番号
項目
記号
単位
小歯車
大歯車
1
許容歯元曲げ応力
σF lim
kgf/mm2
42.5
2
歯直角モジュール
m n
mm
2
3
歯幅
b
20
4
歯形係数
Y F
2.568
2.535
5
荷重分配係数

0.619
6
ねじれ角係数

1.0
7
寿命係数
K L
1.0
8
歯元応力に対する寸法係数
K F X
1.0
9
動荷重係数
K V
1.4
10
過負荷係数
K O
1.0
11
安全率
S F
1.2
12
かみ合いピッチ円上の許容円周力
F t lim
kgf
594.1
601.9
こちらの技術資料は冊子カタログ3013(2015年)当時のデータであり、一部データが古い場合があります。
最新情報は最新カタログでご確認下さいますよう、お願いいたします。

KHK総合カタログ 2025

「選定しやすくリニューアル」をテーマに各種ラック&ピニオンの充実、潤滑システムの新規取り扱い、締結シリーズの拡充など、 新製品を含め200品目、27,000種の歯車を収録した新総合カタログ「KHK2025」をご用意しました。最新版 2024/11/5現在
お申し込みはこちら
小原歯車工業株式会社
〒332-0022
埼玉県川口市仲町13-17
TEL.048-255-4871
9:00~12:00/13:00~17:00(土日祝除く) 
TOPへ戻る