円筒ウォームギヤの強さ計算式
10 歯車の強度
10.5 円筒ウォームギヤの強さ計算式 JGMA 405-01:1978
この規格は、一般産業機械において動力伝達に使用される次の範囲の円筒ウォームギヤに適用します。
軸方向モジュール | ma | 1~25mm |
ウォームホイールのピッチ円直径 | d02 | 900mm以下 |
滑り速度 | Vs | 30m/s以下 |
ウォームホイールの回転数 | n2 | 600rpm以下 |
(1)基礎となる換算式
(1)-1 滑り速度(m/s)
(10.51)(1)-2 トルク、円周力および効率
①ウォームから駆動させる場合(減速)
(10.52)ここに
T2:ウォームホイールの呼びトルク(kgf・m)
T1:ウォームの呼びトルク(kgf・m)
Ft:ウォームホイールのピッチ円上の呼び円周力(kgf)
d02:ウォームホイールのピッチ円直径(mm)
i:歯数比=z2/zw
ηR:ウォームから駆動させる場合のウォームギヤの伝動効率(軸受損失および潤滑油をかくはんする損失を除外する)
μ:摩擦係数
T1:ウォームの呼びトルク(kgf・m)
Ft:ウォームホイールのピッチ円上の呼び円周力(kgf)
d02:ウォームホイールのピッチ円直径(mm)
i:歯数比=z2/zw
ηR:ウォームから駆動させる場合のウォームギヤの伝動効率(軸受損失および潤滑油をかくはんする損失を除外する)
μ:摩擦係数
②ウォームホイールから駆動される場合(増速)
(10.53)ここに
ηI:ウォームホイールから駆動される場合のウォームギヤの伝動効率
(軸受損失および潤滑油をかくはんする損失を除外する)
③摩擦係数μの数値
浸炭焼入れ、歯面研削したウォームとリン青銅製のウォームホイールとの組合せの場合、摩擦係数μの値は滑り速度vsにより図10.12から求めます。
図10.12 摩擦係数
浸炭焼入れ、歯面研削したウォームとリン青銅製のウォームホイール以外の組合せの場合の摩擦係数μは、
資料に乏しく正確に規定できませんが、参考としてH.E.MERRITTの提案を表10.27に示します。
資料に乏しく正確に規定できませんが、参考としてH.E.MERRITTの提案を表10.27に示します。
表10.27 各種材料の組合わせと摩擦係数μ
材料の組合わせ | μの値 |
鋳鉄と青銅 鋳鉄と鋳鉄 焼入鋼とアルミニウム青銅 鋼と鋼 | 図10.12の摩擦係数の値の1.15倍 図10.12の摩擦係数の値の1.33倍 図10.12の摩擦係数の値の1.33倍 図10.12の摩擦係数の値の2.0倍 |
(2)歯面強さに対する許容負荷の計算式
(2)-1 基本負荷容量の計算
与えられた円筒ウォームギヤの寸法および材質から、その歯面強さに対する基本負荷容量は次の式によって求めます。
許容円周力 Ft lim(kgf)
(10.54)許容ウォームホイールトルク T 2lim(kgf・m)
(10.55)(2)-2 相当負荷の計算
式10.54と10.55にて計算された基本負荷容量は無衝撃の場合に26000時間に耐える円周力又はトルクの限界です。
ただし、起動時の衝撃トルクが定格トルク注1の200%以下で、起動回数が1時間当たり2回未満の場合は無衝撃と見なします。
この条件に合わない場合、すなわち期待寿命が26000時間より長い場合又は短かい場合、衝撃がある場合及び起動時のトルク又は起動回数が上記より大きい場合については、相当負荷を算出して基本負荷容量と比較します。
相当負荷の計算法は次の式によります。
注1.定格トルクとは、原動機(又は被動機械)が定格負荷運転をしているときのウォームホイールのトルクをいう。
ただし、起動時の衝撃トルクが定格トルク注1の200%以下で、起動回数が1時間当たり2回未満の場合は無衝撃と見なします。
この条件に合わない場合、すなわち期待寿命が26000時間より長い場合又は短かい場合、衝撃がある場合及び起動時のトルク又は起動回数が上記より大きい場合については、相当負荷を算出して基本負荷容量と比較します。
相当負荷の計算法は次の式によります。
注1.定格トルクとは、原動機(又は被動機械)が定格負荷運転をしているときのウォームホイールのトルクをいう。
相当円周力 F t e(kgf)
F t e = Ft Kh Ks (10.56)
相当ウォームホイールトルク T 2e(kgf・m)
T 2e = T 2 Kh Ks (10.57)
(2)-3 負荷の判定
①無衝撃で、26000時間の寿命を期待する場合は、次の関係を満足する必要があります。
Ft ≦ Ft lim 又は T2 ≦ T 2lim (10.58)
②上記以外の場合は、次の関係を満足する必要があります。
Ft e ≦ Ft lim 又は T 2e ≦ T 2lim (10.59)
備考
変動負荷の場合は、総合トルクT2cを用いて負荷の判定を行う必要があります。
(3)各種係数などの求め方
(3)-1 ウォームホイールの歯幅b2(mm)
ウォームホイールの歯幅b2は図10.13によります。
図10.13 ウォームホイールの歯幅 b2
(3)-2 領域係数Z
(10.60)表10.28 領域係数の基本値
Zw | Q | ||||||||||||
| 7 | 7.5 | 8 | 8.5 | 9 | 9.5 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 17 | 20 | |
| 1 | 1.052 | 1.065 | 1.084 | 1.107 | 1.128 | 1.137 | 1.143 | 1.160 | 1.202 | 1.260 | 1.318 | 1.402 | 1.508 |
| 2 | 1.055 | 1.099 | 1.144 | 1.183 | 1.214 | 1.223 | 1.231 | 1.250 | 1.280 | 1.320 | 1.360 | 1.447 | 1.575 |
| 3 | 0.989 | 1.109 | 1.209 | 1.260 | 1.305 | 1.333 | 1.350 | 1.365 | 1.393 | 1.422 | 1.442 | 1.532 | 1.674 |
| 4 | 0.981 | 1.098 | 1.204 | 1.301 | 1.380 | 1.428 | 1.460 | 1.490 | 1.515 | 1.545 | 1.570 | 1.666 | 1.798 |
ここに
Q:

Zw:ウォームの条数
(3)-3 滑り速度係数Kv
滑り速度係数Kvは、滑り速度Vsに基づいて図10.14から求めます。
図10.14 滑り速度係数Kv
(3)-4 回転速度係数Kn
回転速度係数Knはウォームホイールの回転速度n2(rpm)に基づいて図10.15から求めます。
図10.15 回転速度係数Kn
(3)-5 潤滑油係数ZL
歯車用極圧添加剤の入った、適正な粘度の潤滑油を使用するときはZL = 1.0とします。
ウォームギヤ装置内に組込まれた軸受などの潤滑の都合により、やむを得ず低い粘度の潤滑油を使用する場合にはZL < 1.0としなければなりません。
ウォームギヤ装置内に組込まれた軸受などの潤滑の都合により、やむを得ず低い粘度の潤滑油を使用する場合にはZL < 1.0としなければなりません。
表10.29 動粘度推奨値
単位:cSt/37.8℃
運転油温 | 滑り速度m/s | |||
運転最高油温 | 始動時油温 | 2.5未満 | 2.5以上5未満 | 5以上 |
0℃以上10℃未満 | -10℃以上0℃未満 | 110~130 | 110~130 | 110~130 |
0℃以上 | 110~150 | 110~150 | 110~150 | |
10℃以上30℃未満 | 0℃以上 | 200~245 | 150~200 | 150~200 |
30℃以上55℃未満 | 0℃以上 | 350~510 | 245~350 | 200~245 |
55℃以上80℃未満 | 0℃以上 | 510~780 | 350~510 | 245~350 |
80℃以上100℃未満 | 0℃以上 | 900~1100 | 510~780 | 350~510 |
(3)-6 潤滑法係数ZM
潤滑法係数ZMは表10.30によって求めます。
表10.30 潤滑法係数ZM
滑り速度m/s | 10未満 | 10以上14未満 | 14以上 |
油浴潤滑 | 1.0 | 0.85 | - |
強制潤滑 | 1.0 | 1.0 | 1.0 |
(3)-7 粗さ係数ZR
粗さ係数ZRはウォームおよびウォームホイールの歯面の粗さが、ピッチングおよび摩耗に影響することを考慮して定めた係数ですが、これを正確に規定する十分な資料に乏しいので
ZR = 1.0 (10.61)
ただし、歯面の粗さはウォーム3S以内、ウォームホイール12S以内とします。
歯面の粗さが、上記より粗い場合は、1.0より小さい値をとる必要があります。
歯面の粗さが、上記より粗い場合は、1.0より小さい値をとる必要があります。
(3)-8 歯当たり係数Kc
歯当たりの良否は負荷容量に大きな影響を及ぼします。
しかし、これを正確に規定するには資料に乏しいので、現在のところJIS B 1741歯車の歯当たりの区分Aに相当する歯当たりに対してKc = 1.0とします。
しかし、これを正確に規定するには資料に乏しいので、現在のところJIS B 1741歯車の歯当たりの区分Aに相当する歯当たりに対してKc = 1.0とします。
Kc = 1.0 (10.62)
区分Bと区分Cに対してはKcを1.0より大きくとります。
表10.31にはJISの歯当たりの割合と、それに対応するKcの概略値を示します。
表10.31にはJISの歯当たりの割合と、それに対応するKcの概略値を示します。
表10.31 歯当たり区分と歯当たり係数Kcでの概略値
区分 | 歯当たりの割合 | Kc | |
歯すじ方向 | 歯たけ方向 | ||
A | 有効歯すじの長さの50%以上 | 有効歯たけの40%以上 | 1.0 |
B | 有効歯すじの長さの35%以上 | 有効歯たけの30%以上 | 1.3~1.4 |
C | 有効歯すじの長さの20%以上 | 有効歯たけの20%以上 | 1.5~1.7 |
(3)-9 起動係数Ks
起動時のトルクが定格トルクの200%以下の場合、起動係数KsはKSは表10.32から求めます。
起動時のトルクが定格トルクの200%以下の場合、起動係数KsはKSは表10.32から求めます。
表10.32 起動係数Ks
1時間当たりの起動回数 | 2回未満 | 2回以上5回未満 | 5回以上10回未満 | 10回以上 |
Ks | 1.0 | 1.07 | 1.13 | 1.18 |
(3)-10 時間係数Kh
時間係数Khは期待寿命時間および衝撃の程度によって表10.33から求めます。
期待寿命時間が表に示すものの中間にある場合は補間法によって求めます。
期待寿命時間が表に示すものの中間にある場合は補間法によって求めます。
表10.33 時間係数Kh
原動機側からの衝撃 | 期待寿命時間 | Kh | ||
被動機械からの衝撃 | ||||
均一負荷 | 中程度の衝撃 | 激しい衝撃 | ||
均一負荷 (電動機、タービン及び油圧モーターなど) | 1500時間 | 0.80 | 0.90 | 1.0 |
5000時間 | 0.90 | 1.0 | 1.25 | |
26000時間(1) | 1.0 | 1.25 | 1.50 | |
60000時間 | 1.25 | 1.50 | 1.75 | |
軽度の衝撃 (多気筒機関) | 1500時間 | 0.90 | 1.0 | 1.25 |
5000時間 | 1.0 | 1.25 | 1.50 | |
26000時間(1) | 1.25 | 1.50 | 1.75 | |
60000時間 | 1.50 | 1.75 | 2.0 | |
中程度の衝撃 (単気筒機関) | 1500時間 | 1.0 | 1.25 | 1.50 |
5000時間 | 1.25 | 1.50 | 1.75 | |
26000時間(1) | 1.50 | 1.70 | 2.0 | |
60000時間 | 1.75 | 2.0 | 2.25 | |
注(1) 1日当たりの運転時間が10時間で年間260日稼動の場合、10年に相当する。
(3)-11 許容応力係数Sc lim
歯面強さに対する許容応力係数Sc limおよび焼付限界滑り速度を表10.34に示します。
表10.34 歯面強さに対する許容応力係数Sc lim
ウォームホイールの材料 | ウォームの材料 | Sc lim | 焼付限界滑り速度(1)m/s |
りん青銅遠心鋳造品 | 合金鋼浸炭焼入れ | 1.55 | 30 |
合金鋼HB400 | 1.34 | 20 | |
合金鋼HB250 | 1.12 | 10 | |
りん青銅チル鋳物 | 合金鋼浸炭焼入れ | 1.27 | 30 |
合金鋼HB400 | 1.05 | 20 | |
合金鋼HB250 | 0.88 | 10 | |
りん青銅砂型鋳物又は鍛造品 | 合金鋼浸炭焼入れ | 1.05 | 30 |
合金鋼HB400 | 0.84 | 20 | |
合金鋼HB250 | 0.70 | 10 | |
アルミニウム青銅 | 合金鋼浸炭焼入れ | 0.84 | 20 |
合金鋼HB400 | 0.67 | 15 | |
合金鋼HB250 | 0.56 | 10 | |
黄銅 | 合金鋼HB400 | 0.49 | 8 |
合金鋼HB250 | 0.42 | 5 | |
片状黒鉛強じん鋳鉄 | 同左ただし、ウォームホイールより硬度の高いもの | 0.70 | 5 |
普通鋳鉄(パーライト質) | りん青銅鋳物又は鍛造品 | 0.63 | 2.5 |
同左ただし、ウォームホイールより硬度の高いもの | 0.42 | 2.5 |
注(1)表中のSc limの値を適用し得る最高の滑り速度をいいます。
計算された許容荷重以下の負荷で使用する場合でも、滑り速度がこの限界を超えていれば焼付きの危険があります。
(4)計算例
円筒ウォームギヤ諸元
番号 | 項目 | 記号 | 単位 | ウォーム | ウォームホイール |
1 | 軸方向モジュール | ma | mm | 2 | |
2 | 歯直角圧力角 | αn | 度 | 20° | |
3 | 条数・歯数 | zw・z2 | 1 | 40 | |
4 | ピッチ円直径 | d0 | mm | 28 | 80 |
5 | 進み角 | γ0 | 度 | 4.08562° | |
6 | 直径係数 | Q | 14 | - | |
7 | 歯幅 | b | mm | ( ) | 20 |
8 | 仕上げ | 研削 | ホブ仕上げ | ||
9 | 歯面粗さ | 3.2S | 12.5S | ||
10 | 回転速度 | n | rpm | 1500 | 37.5 |
| 11 | すべり速度 | Vs | m/s | 2.205 | |
12 | 材料 | S45C | AℓBC2 | ||
13 | 熱処理 | 高周波焼入れ | - | ||
14 | 表面硬さ | Hs63-68 | - |
円筒ウォームギヤの強さ計算
番号 | 項目 | 記号 | 単位 | ウォームホイール |
1 | 軸方向モジュール | ma | mm | 2 |
2 | ウォームホイールのピッチ円直径 | d02 | 80 | |
3 | 領域係数 | Z | 1.5157 | |
4 | 滑り速度係数 | Kv | 0.49 | |
5 | 回転速度係数 | Kn | 0.66 | |
6 | 潤滑油係数 | ZL | 1.0 | |
7 | 潤滑法係数 | ZM | 1.0 | |
8 | 粗さ係数 | ZR | 1.0 | |
9 | 歯当たり係数 | Kc | 1.0 | |
10 | 許容応力係数 | Sc lim | 0.67 | |
11 | 計容円周力 | Ft lim | kgf | 83.5 |
こちらの技術資料は冊子カタログ3013(2015年)当時のデータであり、一部データが古い場合があります。
最新情報は最新カタログでご確認下さいますよう、お願いいたします。
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