プラスチック歯車の強度計算
11 プラスチック歯車の設計
11.2 プラスチック歯車の強度計算
この計算は歯車計算ソフトGCSWで計算可能です。(但しジュラコン(R)は除く)
(1)平歯車の曲げ強さ
MCナイロン平歯車のピッチ円上の許容円周力 F(kgf)は、ルイスの式にて計算されます。
F =m y b σb f(kgf) (11.1)
ここに、
m:モジュール(mm)
y:ピッチ点付近における歯形係数(表11.5から求めます)
b:歯幅(mm)
σb:許容曲げ応力(kgf/mm2)(図11.2から求めます)
f:速度係数(表11.6から求めます)
y:ピッチ点付近における歯形係数(表11.5から求めます)
b:歯幅(mm)
σb:許容曲げ応力(kgf/mm2)(図11.2から求めます)
f:速度係数(表11.6から求めます)
図 11.2 許容曲げ応力 σb
表11.5 歯形係数 y
歯数 | 歯形係数 | ||
14,5° | 20°並歯 | 20°低歯 | |
12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 34 38 40 50 60 75 100 150 300 Rack | 0.355 0.399 0.430 0.458 0.480 0.496 0.509 0.522 0.535 0.540 0.553 0.556 0.569 0.588 0.604 0.613 0.622 0.635 0.650 0.660 | 0.415 0.468 0.503 0.522 0.544 0.559 0.572 0.588 0.597 0.606 0.628 0.651 0.657 0.694 0.722 0.735 0.757 0.779 0.801 0.823 | 0.496 0.540 0.578 0.603 0.628 0.648 0.664 0.678 0.688 0.698 0.714 0.729 0.733 0.757 0.774 0.792 0.808 0.830 0.855 0.881 |
表11.6 速度係数 f
潤滑状態 | 周速度m/s | 係数 |
油潤滑 | 12未満 12以上 | 1.0 0.85 |
無潤滑 | 5未満 5以上 | 1.0 0.7 |
ジュラコン(R)平歯車のピッチ円上の許容円周力F(kgf)は、ルイスの式にて計算されます。
F =m y b σb (11.2)
ここに、
m:モジュール(mm)
y:ピッチ点付近における歯形係数(表11.5から求めます)
b:歯幅(mm)
σb:許容曲げ応力(kgf/mm2)
y:ピッチ点付近における歯形係数(表11.5から求めます)
b:歯幅(mm)
σb:許容曲げ応力(kgf/mm2)
ここで許容曲げ応力σb は次のように求めます。
(11.3)ここに、
σb':標準条件での最大許容曲げ応力(kgf/mm2)
これは図11.3から求めます。
CS:使用状況係数(表11.7から求めます)
KV:速度係数(図11.4から求めます)
KT:温度係数(図11.5から求めます)
KL:潤滑係数(表11.8から求めます)
KM:材質係数(表11.9から求めます)
これは図11.3から求めます。
CS:使用状況係数(表11.7から求めます)
KV:速度係数(図11.4から求めます)
KT:温度係数(図11.5から求めます)
KL:潤滑係数(表11.8から求めます)
KM:材質係数(表11.9から求めます)
図 11.3 標準条件での最大許容曲げ応力 σb'
図11.4 速度係数KV
図11.5 温度係数K T
表11.7 使用状況係数CS
荷重の種類 | 1日の運転時間 | |||
24時間/日 | 8~10時間/日 | 3時間/日 | 0.5時間/日 | |
一様の場合 軽衝撃のある場合 中衝撃のある場合 大きな衝撃のある場合 | 1.25 1.50 1.75 2.00 | 1.00 1.25 1.50 1.75 | 0.80 1.00 1.25 1.50 | 0.50 0.80 1.00 1.25 |
表11.8 潤滑係数KL
潤滑条件 | KL |
グリースによる初期潤滑 | 0.75 |
油による連続潤滑 | 1 |
油による連続潤滑 | 1.5-3.0 |
表11.9 材質係数KM
材質の組合せ | KM |
ジュラコン(R)と金属 | 1 |
ジュラコン(R)とジュラコン(R) | 0.75 |
使用上の注意
これらプラスチック歯車を設計する上で、注意しなければならないのは、熱に関係した問題です。
- バックラッシは大きめにとる。
プラスチック歯車は温度上昇や、吸湿によって寸法増加しますから、それを見込んでバックラッシをつける必要があります。 - 油潤滑をする。
プラスチック歯車は温度上昇しやすい歯車です。
潤滑と冷却の目的で、油潤滑することをおすすめします。これによって、プラスチック歯車の性能を充分にひき出すことができます。特に、高速回転にてプラスチック歯車を使用するには、油潤滑が重要です。 - 金属製の歯車と組合せる。
プラスチック歯車は温度上昇しやすい歯車ですが、相手歯車に金属歯車を使うことによって、プラスチック歯車の温度上昇を低くおさえることができます。
(2)平歯車の歯面強さ
油潤滑されているジュラコン(R)ギヤの場合、摩耗はあまり問題になりませんが、無潤滑の場合は、歯面強さを検討する必要があります。歯面強さは、ヘルツの面圧SC(kgf/mm2)によって計算します。
(11.4)ここに、
F:歯にかかる円周力(kgf)
b:歯幅(mm)
d01:小歯車のピッチ円直径(mm)
i:歯数比=Z2/Z1
E:歯車材料の弾性係数(kgf/mm2)、ジュラコン(R)の曲げ弾性係数は図11.6から求めます。
α:圧力角(度)
b:歯幅(mm)
d01:小歯車のピッチ円直径(mm)
i:歯数比=Z2/Z1
E:歯車材料の弾性係数(kgf/mm2)、ジュラコン(R)の曲げ弾性係数は図11.6から求めます。
α:圧力角(度)
図 11.6 ジュラコン(R)の曲げ弾性係数
図 11.7 平歯車の最大許容面圧
式(11.4)で計算されたヘルツの面圧SCが、図11.7の曲線よりも下側にあれば使用可、上側にあれば使用不可という判定ができます。
ただし図11.7は、ジュラコン(R)歯車どうしの組合せで、m = 2、v = 12m/s、常温でのデータです。使用条件がこれと類似か、又はこれよりも安全側の条件のときに、図11.7を使用できます。
ただし図11.7は、ジュラコン(R)歯車どうしの組合せで、m = 2、v = 12m/s、常温でのデータです。使用条件がこれと類似か、又はこれよりも安全側の条件のときに、図11.7を使用できます。
(3)かさ歯車の曲げ強さ
かさ歯車のピッチ円上の許容円周力F(kgf)は、次の式にて計算されます。
(11.5)ここに、
y:ピッチ点付近の歯形係数
相当平歯車歯数Zvに基づき、表11.5から求めます。
(11.6)Ra:外端円すい距離(mm)
δ0:ピッチ円すい角(度)
かさ歯車のピッチ円上の許容円周力F(kgf)は、次の式にて計算します。
(11.7)ここで

y:ピッチ点付近の歯形係数
式(11.6)により求めた相当平歯車歯数に基づき、表11.5から求めます。
その他は、ジュラコン(R)平歯車の曲げ強さと同じように計算します。
(4)ウォームホイールの曲げ強さ
ウォーム及びウォームホイールの組合せでは、一般にウォームの方が安全ですから、ウォームホイールの歯について、曲げ強さの計算をします。
ウォームホイールのピッチ円上の許容円周力F(kgf)は次の式にて計算します。
ウォームホイールのピッチ円上の許容円周力F(kgf)は次の式にて計算します。
F = mn y b σb f(kgf) (11.8)
ここに
mn:歯直角モジュール(mm)
y:ピッチ点付近における歯形係数
相当平歯車歯数Zvに基づき、表11.5から求めます。
(11.9)ウォームギヤは、相対すべり運動が大きいため発熱しやすく、強度の低下や異常摩耗を起こしやすいので、すべり速度は表11.10以下におさえなければなりません。
表11.10 材料の組合せとすべり速度限界
ウォームの材質 | ウォームホイールの材質 | 潤滑条件 | すべり速度 |
“MC” | “MC” | 無潤滑 | 0.125m/s以下 |
鋼 | “MC” | 無潤滑 | 1m/s以下 |
鋼 | “MC” | 初期潤滑 | 1.5m/s以下 |
鋼 | “MC” | 連続潤滑 | 2.5m/s以下 |
すべり速度Vsの求め方
(11.10)特にプラスチック製のウォームギヤにおいては、油潤滑が重要です。無潤滑での高負荷又は連続運転はさけなければなりません。
(5)プラスチック歯車のキー溝強さ
歯車を軸に取付ける方法としては、キーを用いるのが最も一般的な方法です。
プラスチックキー溝の強度はキー溝にかかる面圧σ(kgf/cm2)の大きさによって判断します。
プラスチックキー溝の強度はキー溝にかかる面圧σ(kgf/cm2)の大きさによって判断します。
(11.11)T:伝達トルク(kgf・cm)
d:軸径(cm)
l:有効キー溝長さ(cm)
h:キー溝深さ(cm)
ナイロンMC901の最大許容面圧は200kgf/cm2ですから、キー溝にかかる面圧σはこれ以下でなければなりません。また、キー溝のコーナーにはアールをつけるのが理想です。
プラスチック歯車の場合、キー溝の強度のほかに、歯底からキー溝の頂部までの距離を充分大きくとるように注意する必要があります。これは歯たけの2倍以上というのが原則です。
ここで次のような場合には、プラスチック歯車に直接キー溝を切る方法は、さけなければなりません。
プラスチック歯車の場合、キー溝の強度のほかに、歯底からキー溝の頂部までの距離を充分大きくとるように注意する必要があります。これは歯たけの2倍以上というのが原則です。
ここで次のような場合には、プラスチック歯車に直接キー溝を切る方法は、さけなければなりません。
- キー溝の強度が不足している場合
- 周囲の温度が高い場合
- 歯車の直径が大きい場合
- 大きな衝撃がかかる場合
このような場合は、プラスチック歯車に金属製ハブ(ボス)を取付けて、その金属製ハブ(ボス)にキー溝を切る方法が用いられます。
プラスチック歯車に金属製ハブ(ボス)を取付けるには、次のような方法があります。
プラスチック歯車に金属製ハブ(ボス)を取付けるには、次のような方法があります。
- 金属製ハブ(ボス)にプラスチック歯車をはめこみ、ボルトで固定する方法
- 金属製リングでプラスチック歯車をはさみ、ボルトで固定する方法
- 金属製ハブにプラスチック歯車を融着する方法
こちらの技術資料は冊子カタログ3013(2015年)当時のデータであり、一部データが古い場合があります。
最新情報は最新カタログでご確認下さいますよう、お願いいたします。
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