歯車の代表的な熱処理方法
9 歯車の材料と熱処理
9.2 歯車の代表的な熱処理方法
熱処理とは金属材料に所要の組織及び性質を与えるために行なう、加熱及び冷却の操作のことで、特に冷却の方法によって組織及び性質がいろいろ変化します。熱処理は大別して、焼ならし、焼なまし、焼入れ、焼戻し、表面硬化にわけられます。熱処理を活用してこそ、鋼の持っている性質を十分に発揮させることができます。
各種の焼入れを行うことにより、鋼は硬くなり、歯車の強度がアップします。特に歯面強さは、大幅にアップします。焼入れ方法は、鋼が含有する炭素(C)量により表9.2のように異なります。
各種の焼入れを行うことにより、鋼は硬くなり、歯車の強度がアップします。特に歯面強さは、大幅にアップします。焼入れ方法は、鋼が含有する炭素(C)量により表9.2のように異なります。
表9.2 焼き入れ方法
(1)焼ならし(焼準) normalizing
焼ならしとは、鋼の結晶粒を微細化し、組織を均一にするため行う熱処理です。目的は、前加工の影響である鋼の内部応力を除去したり、圧延などの塑性加工により生じた繊維組織を解消することです。
(2)焼なまし(焼鈍) annealing
焼なましとは、鋼の軟化、結晶組織の調整、内部応力の除去、冷間加工性及び切削性の改善等のために行う熱処理です。その目的により、完全焼なまし、軟化焼なまし、応力除去焼なまし、ひずみ取り焼なまし、中間焼なましなどがあります。
- 応力除去焼なまし
組織を変えることなく、内部応力を減らす焼なまし。 - ひずみ取り焼なまし
鋼などに生じたひずみを除去するために、荷重をかけながら行う焼なまし。 - 中間焼なまし
冷間加工の途中で次の加工を容易にするために、加工硬化した材料を軟化させるために行う焼なまし。
(3)焼入れ quenching
鋼を高温に加熱したあと急冷すること。鋼を硬く、強くします。
冷却条件により、水焼入れ、油焼入れ、真空焼入れなどがあります。
焼入れした後には、必ず焼戻しを行います。
焼入れした後には、必ず焼戻しを行います。
(4)焼戻しtempering
焼入硬化後、再度加熱した後、適切な速度で冷却する熱処理です。
焼入れした後には、必ず焼戻しを行います。
焼戻しの主な目的は、硬さの調整、靭性(ねばり強さ)の付与、及び内部応力の除去です。
焼戻しの温度により、「高温焼戻し」と「低温焼戻し」があります。
焼入れした後には、必ず焼戻しを行います。
焼戻しの主な目的は、硬さの調整、靭性(ねばり強さ)の付与、及び内部応力の除去です。
焼戻しの温度により、「高温焼戻し」と「低温焼戻し」があります。
焼戻しの温度が高い程、硬度は減少しますが靭性は増加します。
調質の場合は、高温焼戻しを行います。
高周波焼入れ、浸炭焼入れなどの表面硬化処理後の焼戻しは、低温焼戻しです。
調質の場合は、高温焼戻しを行います。
高周波焼入れ、浸炭焼入れなどの表面硬化処理後の焼戻しは、低温焼戻しです。
(5)調質
焼入れと焼戻し(高温)を組み合わせて、鋼の硬さ/強度/靭性を調整する熱処理です。
調質後に製品を機械加工できる程度に硬度を調整します。
調質硬度の目安は以下の通りです。
調質硬度の目安は以下の通りです。
- S45C(機械構造用炭素鋼)200~270HB
- SCM440(機械構造用合金鋼)230~270HB
(6) 浸炭焼入れ
低炭素鋼の表面に浸炭(炭素をしみ込ませる)して、高炭素の状態にして焼入れし、炭素が浸み込んだ表面を特別に硬くする熱処理です。焼入れ後、焼戻し(低温)を行って硬度を調整します。
浸炭焼入れにより表面だけでなく、芯部もある程度は硬くなりますが、表面ほどは硬くなりません。
表面の一部分に浸炭防止剤を塗ることにより、炭素が浸み込むのを防げば、その部分の硬度が高くなることを防止できます。
表面硬度及び硬化層深さの目安は以下の通りです。
浸炭焼入れにより表面だけでなく、芯部もある程度は硬くなりますが、表面ほどは硬くなりません。
表面の一部分に浸炭防止剤を塗ることにより、炭素が浸み込むのを防げば、その部分の硬度が高くなることを防止できます。
表面硬度及び硬化層深さの目安は以下の通りです。
- 焼入れ硬度 55~63HRC(参考)
- 有効硬化層深さ 0.3~1.2mm(参考)
歯車は、浸炭焼入れすることにより変形して精度は悪くなります。
歯車の精度を高めるには、歯車研削仕上げが必要です。
(7)高周波焼入れ
0.30%以上の炭素を含有した鋼を高周波誘導加熱によって表面を硬くする焼入れ方法です。歯車を高周波焼入れする場合、歯面及び歯先を硬くすることは出来ても、歯底を硬くすることは出来ないことがあります。
高周波焼入れによるひずみで、歯車精度は一般的に低下します。
S45C製品を高周波焼入れする場合は、以下に示した硬度を参考にしてください。
高周波焼入れによるひずみで、歯車精度は一般的に低下します。
S45C製品を高周波焼入れする場合は、以下に示した硬度を参考にしてください。
- 焼入れ硬度 50~60HRC
(8)炎焼入れ
熱源が炎である表面硬化処理。主に鉄鋼の任意の表面、一部分だけを焼入れする場合に用います。
(9)窒化
鋼の表面に窒素を拡散侵入させて表面を硬くする熱処理です。
鋼に、アルミニウム、クロム、モリブデンが含まれていると窒化しやすく硬くなります。
代表的な窒化鋼としては、SACM645(アルミニウムクロムモリブデン鋼)があります。
(10)全体焼入れ(ズブ焼入れ)
鋼全体を芯部まで加熱して、急冷する焼入れです。表面だけでなく、芯部まで硬くなります。
こちらの技術資料は冊子カタログ3013(2015年)当時のデータであり、一部データが古い場合があります。
最新情報は最新カタログでご確認下さいますよう、お願いいたします。
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