歯車の損傷状態及びその用語
14 歯車の損傷と対策
14.3 歯車の損傷状態及びその用語
歯車の損傷にはいろいろありますが、ここではJGMA 7001-01(1990)「歯車の損傷状態及びその用語」から抜粋して代表的なものを紹介します。
表14.1 歯車損傷用語と種類
項目番号 | 損傷の種類 | 損傷状態及び損傷原因 |
1 | 歯面の劣化 | |
11 | 摩耗 | 何らかの原因により、歯面物質が次第に失われる現象 |
111 | 正常摩耗 | 損傷ではない。運転開始後、歯面の微細な凸凹がとれた状態 |
1111 | 中程度の摩耗 | 歯面の摩耗が歯当たりを見て分かる程度の摩耗 |
1112 | ポリッシング | 歯面の微細な凹凸がとれ、鏡面のように滑らかになった状態 |
112 | アブレシブ摩耗 | 歯面の滑り方向に線状の溝が不規則に走り、すり傷がつく |
113 | 過度の摩耗 | 設計寿命に影響を及ぼしそうなくらい進行が早く激しい摩耗 |
114 | 干渉摩耗 | 歯車のかどの部分と相手歯車の歯元の面が干渉して歯元が擦り減る摩耗 |
115 | スクラッチング | アブレシブ摩耗の一種。線状の溝が走り、歯面をすきで掘り起こしたようになる |
116 | スコーリング | 歯面の溶着と引き裂きが交互に起こり歯面が表面劣化したもの |
1161 | 中程度のスコーリング | 焼付きの傾向のある軽い表面損傷で、滑り方向にわずかな傷が発生 |
1162 | 破壊的のスコーリング | 傷が明確に現れ、歯形が完全に破壊されているようなスコーリング |
1163 | 局部的のスコーリング | 中程度のスコーリングが歯面上で局部的に発生したもの |
12 | 腐食 | |
121 | 化学的腐食 | 歯面に赤茶色の錆やピットが生じ、歯車材料が劣化する現象 |
122 | フレッチングコロージョン | 接触する二面が微小振幅で相対往復運動するところに見られる表面損傷 |
123 | スケーリング | 熱処理中の酸化によって生じた歯面の浮き彫り部分が金属光沢を帯びる損傷 |
13 | オーバヒーティング | 歯面が極端に高温になること。テンパーカラー(焼戻し色)が見られる |
14 | キャビテーション エロージョン | 強制潤滑によるオイルジェット衝撃作用で歯面に生じた局部的な侵食 |
15 | 電食 | かみ合う歯面間の放電によって歯面に生じた小さなピット(損傷) |
16 | 歯面疲労 | 歯面から材料が脱落する特徴をもった歯面損傷の総称 |
161 | ピッチング | 歯面にピットを生じる損傷。ピッチ線上かその下の歯面に現れることが多い |
1611 | 初期ピッチング | 運転開始後まもなく歯面に現れ、歯面がなじむと進行を停止するピッチング |
1612 | 進行性ピッチング | 運転開始後、歯面がなじんだ後も進行が進むピッチング |
1613 | フロスティング | 高荷重で油膜厚さが薄い状況のもとで生じる微細なピッチング |
162 | フレークピッチング | スポーリングの一種。歯面から比較的大きな面積で薄い金属片が脱落 |
163 | スポーリング | 表面下で材料の疲労が起こり、かなり大きな金属片が歯面から脱落 |
164 | ケースクラッシング | 表面硬化層がかなり広い範囲にわたって剥離する損傷 |
17 | 永久変形 | |
171 | 圧痕 | 異物がかみ合い歯面にかみ込まれることにより生ずる歯面の凹み |
172 | 塑性変形 | 荷重が取り去られた後も変形が残る、永久変形の典型的な形態 |
1721 | ローリング | 歯面で材料が流動し、ピッチ線付近に凹んだ筋や隆起を生じる損傷 |
1722 | 歯打ちによる塑性変形 | 歯に激しい振動荷重が加わり、歯面が互いに打ち合うとに生じる塑性変形 |
173 | リップリング | 転がりと直角方向に歯面に周期的に現れる波状の模様 |
174 | リッジング | 歯面直下の材料が一定方向に塑性流動してできる「うね」又は「山脈」状隆起 |
175 | ばり | ローリングと同様な塑性変形。歯先面や歯幅端部に材料がはみ出した部分 |
176 | 打痕 | 歯先の角・歯幅の角及び歯面の小さな塑性変形。凹みと突起からなる |
18 | クラック | 割れ。製造過程で発生するものと、使用方法に起因するものがある |
181 | 焼割れ | 焼入れによって生ずる割れ |
182 | 研削割れ | 歯面研削によって歯面に生ずる微小な割れ |
183 | 疲労クラック | 繰返し両振り応力又は変動応力下で歯元面又はすみ肉部に発生するクラック |
2 | 歯の折損 | |
21 | 過負荷折損 | 予想できない非常に大きな荷重が歯に作用し、歯が折損に至ったもの |
22 | 歯幅端部の折損 | 歯幅方向の片当たりがその原因で平歯車及びすぐばかさ歯車に多く見られる |
23 | 歯のせん断 | ただ一回の過酷な過荷重により、歯が歯車本体よりせん断されるもの |
24 | スミア折損 | 歯の材料が負荷に耐えられなくなって、歯形の変形が著しくなり折損するもの |
25 | 疲労折損 | 疲労により歯元すみ肉部から始まった亀裂が伝播して引き起こす歯の折損 |
3 | リムとウェブの折損 | |
4 | プラスチック歯車の劣化 | |
41 | 膨潤 | 固体が液体を吸収し、材料の組織が変化することなく、体積が増大する現象 |
用語の説明
- ピット(pit)
歯車の歯面に生ずるあばたのような小さな穴。 - ビーチマーク (Beach mark)
疲労折損した破断面に生ずる模様で、波の打ち寄せる砂浜に描かれる縞模様にたとえられる。
こちらの技術資料は冊子カタログ3013(2015年)当時のデータであり、一部データが古い場合があります。
最新情報は最新カタログでご確認下さいますよう、お願いいたします。
KHK総合カタログ 2025

「選定しやすくリニューアル」をテーマに各種ラック&ピニオンの充実、潤滑システムの新規取り扱い、締結シリーズの拡充など、 新製品を含め200品目、27,000種の歯車を収録した新総合カタログ「KHK2025」をご用意しました。最新版 2024/11/5現在
お申し込みはこちら
お申し込みはこちら




