KHK Technical Information

選定上の注意
KHK標準ウォームギヤを選定する際は、ご使用する用途に合わせて各製品の特長および寸法表の内容をご確認の上、選定してください。また、選定する前に必ず下記の注意事項を一読していただくようお願いいたします。なお、ご注文の際はカタログ記号でお申し付けください。
 
1.相手歯車を選定するときの注意
ウォームギヤには右ねじれと左ねじれがあり、同じねじれ方向のウォームとウォームホイールを組み合わせます。但し、ウォームの条数の違いや、歯直角と軸直角(軸方向)の方式の違いによって組み合わせられない場合がありますのでご注意ください。下記にKHKウォームギヤの相手歯車選定表を示しましたので、ご参照ください。
■相手ウォームホイール選定表

【注1】 相手ホイールはウォームと同一モジュールの組み合わせとなります。

■ウォームギヤのねじれ方向
 
2.歯車強度から選定するときの注意
寸法表に記載した、許容歯面強さは、下表の使用条件で計算した参考値です。ご使用前に必ず実際の使用条件で計算を行い、ご検討後、選定してください。

■歯面強さの計算 ■曲げ強さの計算

カタログ記号

設定項目
KWGDL・KWGDLS/AGDL
KWG/AGF、SWG/AG
SW/BG SW/CG SUW/PG
計算式注2 円筒ウォームギヤの強さ計算式(JGMA405-01) ルイスの式
潤滑油 歯車用極圧添加剤の入った、適切な粘度の潤滑油 許容曲げ応力(kgf/mm2
潤滑方法 油浴潤滑(オイルバス) 1.15kgf/mm2
(無潤滑40℃)
起動状況 起動時のトルクが定格トルクの200%以下で、1時間当たりの起動回数2回未満
期待寿命時間 26000時間
原動機側からの衝撃 均一負荷
被動機側からの衝撃 均一負荷
許容応力係数Sclim 0.67 0.70 0.42
【注2】 歯車強度計算式は、JGMA(日本歯車工業会規格)、三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ株式会社「MCナイロン技術資料」によるものです。なお、回転数の単位(rpm)と応力の単位(kgf/mm2)は計算式で使用する単位に合わせております。
【注3】 DG ウォームホイールの許容曲げ応力は、当社で推定した値です。
円筒ウォームギヤの強さ計算式(JGMA405-01)はこちら
 
■各ウォームギヤの焼付限界滑り速度
各ウォームギヤの焼付限界滑り速度を下表に示します。選定の際は、滑り速度を計算してご検討ください。

*JGMA405-01より抜粋

3.歯車精度から選定するときの注意
KHK標準ウォームギヤの精度は、当社が独自に設定した規格(KHK規格)に基づき、品質の管理を行っています。ご利用の際は、下記の精度表をご確認ください。
 
1.ウォームの精度(KHK W 001)
ウォームの歯形誤差とリード誤差はJIS規格を参考にして、モジュールごとに1~4等級の許容値を設定しています。なお、リード誤差は1リードにおける歯すじ誤差の許容値です。
■ウォームの精度 KHK W 001

単位:μm

2.ウォームホイールの精度(KHK W 002)
ウォームホイールの各ピッチ誤差は、JIS規格を参考にして、モジュールと基準円直径ごとに単一及び累積ピッチ誤差の許容値とし、1~5等級に設定しています。
■ウォームホイールの精度 KHK W 002

 

3.ウォームギヤの全長寸法許容差

■ウォームの全長寸法許容差
ウォームの全長公差
■ウォームホイールの全長寸法許容差
ホイールの全長公差
【注記】 PGプラスチックホイールは適用除外です。
 
4.その他選定上の注意
本カタログに掲載されていない製品、または、寸法表記載外の製品(材料、モジュール、歯数等)は、オーダー品として承りますので、お申し付けください。
寸法表の欄外にも【注】マークで、それぞれの製品の注意事項を記載しましたのでよくご覧の上、選定してください。
寸法表に掲載されている製品の写真で、製品の色や形状が、実物と一部異なっている場合がありますので、ご注意ください。
寸法表に記載されている仕様や寸法は改良のため予告なく変更する場合がありますのであらかじめご承知ください。万一、実物が寸法表と異なる場合は、ご一報お願いいたします。




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使用上の注意
KHK標準ウォームギヤを使用する際は、必ず下記の注意事項をご一読の上、安全に十分注意して正しくご使用ください。また、使用上、不明点、疑問点がございましたら、下記の当社技術課までご連絡ください。

小原歯車工業(株) 技術課
TEL 048-255-4871(代)
FAX. 048-256-2269
ご質問は こちら

 
1.追加工するときの注意

1.歯車の加工は、穴または軸部のステ研部を基準としています。加工する際は、芯出しに十分注意して芯振れがないように加工してください。(図1)なお、穴が小径で芯出しが難しい場合は、穴径1 カ所とボス端面の振れで芯出ししても結構です。

図1
旋盤加工
スクロールチャックでチャッキングする場合は、精度良く加工するために生爪のご使用を推奨いたします。


2.穴径を大きく加工する場合、ボス径(又は歯底径)から穴径までの肉厚強度が歯車強度より高くなるように設計してください。最大穴径は、ボス径(又は歯底径)に対して 60 ~ 70%(キー溝有りの場合 50 ~ 60%)が目安となります。
また、FC200 材の鋳物製ボスは他の鋼材より弱くて脆いため、最大穴径は更に 10%程度小さめが目安となります。

3.ウォームホイールの材料は鋳造品のため、材料内部に気泡(す)ができることがあります。追加工によって発見された気泡が、ご使用上不具合な場合は、恐れ入りますが購入先までお申し付けください。
2.組立上の注意
① KHK 標準平歯車の推奨する中心距離許容差は
歯面研削ウォーム H7 歯面切削ウォーム H8 となっています。
バックラッシ量は、寸法表に記載してありますのでご参照ください。
ウォームホイールの取付基準面は下図の通りです。 ウォーム軸の中心がウォームホイールの歯幅中心になるように組み立ててください。
基準面
ウォームギヤは歯すじがねじれているため、軸方向力(スラスト)が生じます。また回転方向とねじれ方向によってスラストが変化しますので、図2を参考にして、スラスト力に十分耐えうる軸受をご使用ください。詳細は、歯車中級編の「歯車に働く力」をご参照ください。
ウォームには、大きなスラスト力が働きますので、軸への取り付けが不十分の場合、ウォームが移動することがあります。段付軸を使用して、ウォームと軸を確実に固定してください。また、軸受部のゆるみに十分ご注意ください。  
3.取付確認
 
ウォームギヤは、組立の良否で、摩耗度合いが大きく左右されます。組立時に下記の項目について歯当たり等を十分確認した上、ご使用ください。 詳細は歯車技術資料の「ウォームギヤの歯当たり」(659頁)をご参照ください。
ウォーム軸とウォームホイール軸の軸角許容差は90°± 1’です。
ウォーム軸の中心とウォームホイール歯幅の中心の許容差は± 0.2mmです。
ウォームギヤの組立距離推奨する中心距離許容差は
歯面研削ウォームギヤ…H7
歯面切削ウォームギヤ…H8 です。
ウォームホイール軸の中心とウォーム歯幅の中心の許容差は± 2mmです。

3.起動するときの注意
起動する前に、下記の事項を再度ご確認ください。
歯車の取り付けが確実に行われているか。
歯当たりに片寄りがないか。
適切なバックラッシがついているか。(ノーバックラッシは避けてください。)
適切な潤滑を行っているか。
歯車が露出している場合は、必ず安全カバーを取り付けて、安全を確保してください。また、回転中の歯車には絶対にふれないように注意してください。
起動中に騒音や振動等の異常がある場合は、ただちに停止し、歯面の歯当たり、偏芯、締結の緩みなど組立状況を確認してください。
なお、歯車の騒音振動対策には
(1)良い精度
(2)小さい歯面粗さ
(3)正しい歯当たり等があります。
詳細は歯車中級編の「歯車の騒音と対策」をご参照ください。
歯車の潤滑には
(1)グリース潤滑法
(2)はねかけ潤滑法(油浴式)
(3)強制潤滑法(循環給油式)の方法があります。
詳細は歯車中級編の「歯車の潤滑」をご参照ください。特に初期稼動の場合、潤滑油が著しく劣化することがありますので、注意してください。

4.その他使用上の注意
KHK製品は、一つ一つ梱包を行い、キズや打痕を防止しておりますが、取り扱い方法によっては、製品の変形や破損することがあります。取り扱いには十分気をつけるようにお願いいたします。
製品を箱から出したときに、サビ、キズ、打痕等の確認をお願いいたします。万一、不良品がございましたら、交換させていただきますので、購入先にご連絡ください。
当社製品をお客様が追加工して使用する場合、追加工後の歯車精度等の保証は一切できませんので、あらかじめご承知ください。

■複リードウォームギヤの解説
ウォームギヤのバックラッシを調整するには、組立距離を変える方法が一般的であり、一度組立した組立距離を変えるには、歯車箱などの大掛かりな修正作業が必要でした。しかし、複リードウォームギヤを使用すれば、歯車箱の組立距離を変えないでバックラッシの調整が可能になり、作業性やメンテナンスが大変便利になります。なお、複リードウォームギヤは特殊な製品ですので採用する際は、下記の機能および仕組みを理解した上でご使用ください。
 
1.バックラッシ調整の仕組みおよび調整方法
ウォームの右歯面リードと左歯面リードに差をつけて製作すると、そのリード差分歯厚が連続的に変化する歯形形状となります。(図1)
また、ウォームホイールもウォームに合わせて左右の歯面を製作しますが、円筒歯車のため全ての歯が等ピッチ(同一歯厚)になります。
このようなウォームとホイールを組立距離一定でセットして、ウォームを軸方向に移動するとかみ合い部のウォームの歯厚が変化し、バックラッシの調整が可能になります。
KHK複リードウォームのボス外周部にある矢印は、組合せ方向を示すと共に、バックラッシの調整方法としての意味もあります。矢印を右向きにして見た場合、歯幅の右の方の歯厚が薄く、左の方の歯厚が厚くなっております。従って、ウォームを右方向に移動すれば実際にかみ合う歯は左方向に移動しますのでバックラッシは小さくなります。(図2)
 
2.組立上の注意
KHK複リードウォームギヤは左右両歯面のモジュールが異なるため、ウォームとホイールを正しくかみ合わせなければなりません。組立方向や組立位置などを間違えないように、次の事項を確認してから組立ててください。
 
■組立方向の確認
複リードウォームとホイールには、組合せ方向を示す矢印が刻印されております。組立の際は、ウォームホイールの裏表を確認して、矢印の向きが一致するように組立ててください。組立方向を間違えると、中心距離aが正規の寸法より大きくなり組立できなかったり、正しいかみ合いができませんのでご注意ください。(下図)
複リードウォームの回転方向
矢印は組立時の向きを表します。図のように矢印が同方向になるように組立てください
 
■組立基準位置の確認
複リードーウォームの歯先円外周についているV溝ラインは、基準歯を示します。ウォームホイールの回転中心に、この基準歯を合わせて正規の中心距離aで組立すると、バックラッシが0近辺(±0.045)になるように設計されております。(図3)


■ウォームギヤの効率
ウォームギヤの伝達効率は、組立状態と潤滑油等で多少変化しますが、ウォームから駆動される場合のウォームホイールの伝達効率(軸受損失及び潤滑油のかくはん損失を除外する)は、およそ30~90%となります。下記にKHK標準ウォームギヤの伝達効率表を示しますので、参考値としてご利用ください。詳細は、歯車技術資料の「円筒ウォームギヤの強さ計算式」に計算式がありますのでご参照ください。


■ KWGDL・KWGDLS/AGDL ウォームギヤの効率%
効率表

■ KWG/AG・AGF ウォームギヤの効率%
効率表

■ SWG/AG ウォームギヤの効率%
効率表

■ SW、SUW/CG、BG、PG ウォームギヤの効率
組立、荷重、潤滑、回転数などの状態により多少異なりますが、およそ下表の値です。
効率表

■ウォームギヤのセルフロック
ウォームホイールからウォームを回転させることができない場合をセルフロックといいます。セルフロックする要素は、ウォームギヤの材料、進み角、加工の精度、軸受の種類、潤滑油等があります。
このように、いろいろな要素があるため必ずしも進み角だけで決まることではありませんが、普通は一条のウォームで進み角4 ゜以下でセルフロックが作用します。完全な逆転防止が必要な場合は他の制動機構等を併用してください。
はぐるまくん



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